20代子持ちは本当に勝ち組?機会費用から考える「子供を作らない理由」




1. 機会費用とは?タバコとベンツで理解する機会費用

「機会費用」という経済学の用語をご存知でしょうか。人間は様々な選択肢から,何にお金や時間を使うか日々選び取っています。あることを選択すれば,他のことは選択しないことになります。機会費用とはざっくりいうと,「あることにお金や時間を使わなければ,他にどんなことができたか」ということを表しています。

機会費用を理解するためのわかりやすい話として,タバコとベンツの話があります。ソースは2chで,割と好きな話です。

A:煙草吸ってもよろしいですか?

B:どうぞ。ところで一日に何本くらいお吸いに?

A:ふた箱くらいですね。

B:喫煙年数はどれくらいですか?

A:30年くらいですね。

B:なるほど。あそこにベンツが停まってますね。

A:停まってますね。

B:もしあなたが煙草を吸わなければ、あれくらい買えたんですよ。

A:あれは私のベンツですけど。

最後のオチがいいですね。Aさん,一体どれだけお金持ちなんだろう。

セブンスターが1箱460円で考えると,1日2箱を30年間つづけたら一体何円になるのか?驚きの試算結果がでました。4年に1度のうるう年も考慮して,1年を365.25日 と考えると,

460 円/箱 × 2 箱/日× 365.25 日/年 × 30 年= 10,080,900 円

なんと,このペースで吸ったときの30年間のタバコ代の合計は,1080万900円という結果に。

手頃なクラスのベンツは400万から500万くらい。一方で,1000万するクラスのベンツいえば,ベンツのエンブレムがアンテナみたいに立っているやつ。そうそう,こういうやつ。

「ベンツ 1000万」の画像検索結果

30年間タバコを吸わずに過ごせば,本来タバコに使っていたお金で1000万円のベンツが買えたということです。タバコの機会費用が,上(↑)のベンツ…。塵も積もればベンツになるんですね。

2. じゃあ,子育ての機会費用は?<金銭面>

「子供はお金に代えられないかけがえのない存在,お金に換算するとは何事だ!」という非難が飛んできそうですが…。それでも,「結婚して,子供を持つことが幸せ」という社会通念がだんだん通用しなくなり,多様な幸せの在り方が提案されているこの現代。子供を持つか,あるいは子供を作らないか判断する上で,子育ての機会費用について考えるのは意味があることだと思います。

「子供 値段」というキーワードで Google 先生に聞いてみました。すると,子供一人大学卒業まで育てるのにかかる費用が「2400万~3000万」という記事が出てきました。

2400万円あれば何ができるか。そう,国内車最高額である,ホンダのスポーツカーである新型NSXが買えてしまうのです。

「NSX」の画像検索結果

子供1人連れてたらNSX1台。子供1人2000万以上ということを知ってしまった今,子供3人連れている家族を見たら,「あの人, NSX3台連れてる…」としか見ることができなくなってしまいました。

ここで,冒頭のベンツとタバコの話を思い出してみましょう。30年間で1000万円のタバコ代を払い,なおかつ1000万円のベンツを持っている A さん。「2400万円」という子育ての機会費用を考えると,子供を1人我慢するだけでベンツとタバコの両方が手に入るのです。子供を持つことの幸せをとるか,子供を作らないことを選んで浮いたお金を好きに使う人生を選ぶか…それは,あなたの判断にかかっています。

3. じゃあ,子育ての機会費用は?<時間,自由面>

子育ての機会費用となるのは,なにも金銭面だけではない。20代半ばで子供を授かったらば,20代の半分と30代の時間と自由をほぼほぼ子育てにつぎ込むことになります。20代,30代の時間は若さと様々な可能性を秘めた時期。もし,子供を作らなかったら,20代と30代の可能性はどのように広がるのでしょうか。

時間や自由の面から,子供を作らない理由を思いつく限り挙げてみました。

3.1 転職する

転職はかなり大きな人生の分岐点。収入が上がればいいですが,下がるケースも多くあります。特に,転職して最初の1年は,新しい職場に慣れたり新しい仕事に必要なスキルを身に着けるのに大変な時期。そんな時期に,仕事と子育てを両立させるのは並大抵のことではありません。また,子供ができてからすぐの転職は,親戚などからの理解も得にくい事が多いです。子供ができると転職先を探す時間や,転職する自由がきかなくなると言えそうです。

3.2 起業する

転職同様,起業をする際は現状の会社での安定を捨てるということ。起業して事業が軌道にのるまでの数年間は前職ほどの収入は見込めないでしょう。また,起業は子育て以上にエネルギーと集中力をつかう行為。子育てと両立しながら起業するのは,両方中途半端になって共倒れになる危険性が高いように思われます。

3.3 大学院で学び直す

学びは学生の間で終わるものではありません。社会人になって興味が出てきたこと,必要に感じたことは大学院で学び直すのも価値があることだと思います。大学院に行くということは,その間会社をやめるケースが多いですし,少なくとも2年間のうちは安定した収入がゼロになります。やはり,大学院で学び直すという決断は子供ができてしまうとなかなかできるものではありません。

3.4 海外留学でMBAを取る

大学院での学び直し同様,海外のビジネス大学院に行っている間は安定した収入はゼロになりますし,やはり周囲の理解が得にくいことに思います。また,海外でMBAを取るための学費は相当かかります。学費と子育ての出費との二重苦で家計が破綻する可能性が高いです。

3.5 難関資格を取る

「公認会計士」「税理士」「弁理士」「中小企業診断士」「宅地建物取引士」…勉強法系の自己啓発本をたくさん書いている資格マニアの間では割とポピュラーな部類の難関資格。これら「〇〇士」という資格は国家資格の一種であり,これらがあなたの名刺に書くことができればあなたのキャリアに箔がつき,あなたの市場価値が一気に高まります。これらの資格を取るまでの体験談を読むと,「仕事との両立が大変。通勤の満員電車でテキストを読み,仕事で疲れ果てる平日はなかなか勉強時間取れないので,毎週末1日10時間勉強した」みたいなことが書かれています。ですが,子供を持った状態で「毎週末1日10時間勉強」することは可能でしょうか?子供の幼児期は,遊びや家族のふれあいを通じてぐんぐん成長する時期。子供との時間を捨ててまで難関資格の勉強をすることに対して,配偶者や周囲の理解を得ることができるでしょうか?仮に,すでに子供を持っているけど,鋼の意志で勉強して難関資格を取りに行くんだと決意したとします。ですが,家で勉強していれば,子どもが泣いたりぐずったり,遊んでとねだってきたり外に連れてってとせがんできたりすることもあるでしょう。とてもとても,集中して気持ちよく資格のための準備を進められるような環境ではありません。

3.6 自分の欲しい高級車を新車で買う

車に興味がある人にとっては,自分の感性にあったお気に入り車に乗ることがしあわせを感じられる瞬間です。子どもがいなかったら,スポーティーなクーペやセダンやステーションワゴンに乗ることだってできちゃう。けれども,子どもを持つようになれば,家族全員で広々乗れるミニバン,家計に優しく燃費がいいハイブリッド,保育園などの送り迎えに使いやすい軽自動車など,車選びの視点が変わってきます。「自分の乗りたい車」よりも,「家族で乗れる車」を優先させざるを得なくなるのです。

「子ども1人2400万円」とはいえ,数百万円を出して車を買うことも家計にとっては大きな支出イベント。外車や高級車に乗りたいと思っていても,子どもを持てば新車で買うことをためらうようになるのは必至。このように,「どんな車に乗りたいか」と「子どもを持つかどうか」は,天秤にかけて慎重に考えたいところです。

3.7 半年に一度,海外旅行にいく

大企業なら,年間20日程度付与される有給。海外旅行好きの人なら,有給をうまく使いながら半年に1回,1週間程度の海外旅行に行きたいという人も多いはず。

ところが,子供を持つようになってからも同じようなことを続けられるでしょうか。

子供と海外旅行にいくなら,飛行機代もかからない小さいうちに済ませておけとよく言われます。飛行機内も美術館も観劇も,子供がぐずる心配と常に隣り合わせ。旅行気分を100%楽しめるでしょうか?物心ついていないうちに海外に連れていくことが,子供との思い出づくりと言えるでしょうか?

小学校になってからは,学校がある平日の家事やお世話をすっぽかして1週間家を空けるということも難しい。ならば,学校を休ませて子供も一緒に連れていけばいいという親もいますが,学校とプライベートな旅行の重要度を考えると,学校を休ませて海外旅行に行くのもおかしな話。家を空ける間,子供を親に預ければ大丈夫?一度なら大丈夫ですが,定期的に海外旅行に行きたいという場合には,理解が得られるかどうかは不透明です。

3.8 気兼ねなく飲み会に参加する

子供を持っていると,飲み会に参加しづらくなるし,誘う側も気を遣ってしまうもの。お酒が好きな人,友達と飲むのが好きな人にとっては,飲み会に顔を出すフットワークが一気に重くなってしまうのです。2軒目,3軒目と一緒にして,朝型に家に帰るという姿も,子供にはあまり見せたくないものです。

3.9 離婚して結婚生活をやり直す

結婚して同棲すると,恋人関係でいた頃には見えてこなかった相手の部分や不満が出てくることでしょう。「今の相手と40年,50年ずっと一緒にいるのはしんどい」と感じて,別の人と結婚生活をやり直したいという気持ちになってしまうかもしれません。

「子は鎹(かすがい)」ということわざがあります。夫婦仲が悪くても子への愛情があるおかげで夫婦を保つことができる,子供は夫婦の縁が切れないようにする存在である,という意味です。子供ができる前後で,離婚のしやすさは天と地ほど変わってくるのです。

4. まとめ

子供を育てて社会に送り出すまでには,2000万円という高級スポーツカーに匹敵するような金額がかかってしまうこと,そして,子供を作ることで自由に使える時間や自由に人生を選択する幅が一気に狭くなるということが分かりました。

「子供を作らない」という判断をすることで得られる,高級車が買えたり,キャリアアップのための資格が取れたり,海外旅行に行けたり,というような具体的なメリットに魅力を感じる人もいるでしょう。でも,これらは子供を作らない理由の具体的な形の一つに過ぎません。

自分の人生について自由に選択できる「可能性」を持っていることにこそ,本当の価値があるのだと私は思っています。人生は,様々な「可能性」の中から「たった一つ」を選び取る意思決定の連続です。そして,10代にない判断力と30代以上にはない若さを持った20代には,他のどの先の世代よりも数多くの「可能性」が開かれてると思っています。ですが,この自由な可能性が子供を作ることで制約されてしまうこともまた事実。子供を作るか作らないか,様々な可能性を天秤にかけながら慎重に判断する必要があります。その上,子供を持つかどうか判断を下す際は,他の意思決定をするときの何倍も注意深くなる必要があると私は思っています。なぜならあなたには,一度授かった命を何よりも大切に育てる責任があるからです。