〆切と婚活




先日,こんな本を読みました。

「〆切本」

ざっくり説明すると,締め切りに追われる作家さんたちの苦悩がつらつらと書かれた本です。

村上春樹,太宰治,手塚治虫…などなど。古今東西,明治から現代のベストセラー作家に至るまで,あらゆる作家の「〆切」に関する随想が収められたアンソロジーです。

夏休みの宿題,大学のレポート,資格試験,仕事の納期…人生は〆切の連続。人生をうまく生き抜くには締め切りとの上手なお付き合いが必要。

お盆を過ぎてまだ宿題が半分以上残っているけど,まだ夏休み2週間もあるから大丈夫~と余裕こいていたら,気づいたら夏休み残り3日だったり。月曜〆切の3000字のレポートを週末に仕上げようとのんびりしていて,きづいたらサザエさんの時間だったり…。

次こそは,次こそは,〆切前にぎりぎりにやっつけるんじゃなくて,ちゃんと余裕持って終わらせようと心に誓いながも,何年たっても学ばず成長せず,気づいたら〆切に追われている自分がいるような気がします。

 

他人に課される締め切りはなんだかんだでこれまでくぐり抜けてこられた。大学のレポートは仕上げないと単位落として卒業できなくなるし,仕事だって〆切を過ぎると他人に迷惑が掛かってしまうから,なんとか死ぬ気で仕上げてのりこえてきた。

だけれども,自分で自分に課した〆切を守るのはなかなか難しいもの。次の試験でとろうと思っていた資格,なかなか勉強のモチベーションが続かず,先延ばし先延ばしにしてしまいます。私はそれで漢検一級の取得を先延ばしにすること約半年…。(直近のやつは,申し込みを忘れてしまい,受験できませんでした…)

 

「〆切本」は,そんな自分自身に対する〆切を伸ばしてしまう私の心に深く染み入りました。「ああ,あの偉大な文豪でも,だらだら先延ばしてしまって〆切と戦ってるんだな」ということが分かり,少し親近感や安心感が湧いてきつつも,「これからは,気を引き締めて〆切ぎりぎりなってしまわないようにしよう」と少しやる気が湧いてくる本でした。

 

翻って,婚活について。。。

婚活には明確な期限はありません。

「20代のうちに絶対!」と思っている人もいれば,「いやいや,独身をひと通り楽しんでから35までにできればいいや」と思っている人もいて,考え方は様々。ところが,婚活は自分の努力だけですべてどうにかなるものでもありません。もしかしたら,なかなか「この人!」という人に出会えず,ずるずる〆切が延ばし伸ばしになってしまっている人も少なくはないはず。

 

私は思います。婚活で重要なのは,何歳までに婚活から「卒業」できるかできるかではない。それよりも,「婚活という過程を楽しめるか」ということと,「婚活を通して,自分が納得のいく幸せにたどり着けるか」ということが大切なのだと思います。

それでもやはり,「あの人は27歳で結婚した」や,「私,30歳までには結婚して32までには子供欲しい」というように,結婚と年齢は深く結びつけられて考えられがちです。どうすれば,年齢という「〆切」に囚われずに,自分らしく,のびのびと婚活を楽しむことができるのか。

そのために大切なのは,「余裕」であると思います。時間的な余裕と,精神的な余裕です。

時間的な余裕を作るためには,まだまだ早いけど,何とかなるうちから少しずつ結婚相手探しのアクションを起こし始めることだと思います。独身をエンジョイしてて,今後しばらくは結婚する気がないとしても,すこしずつ情報収集しておくことが大切なのです。婚活は「情報戦」と言っても過言ではないくらい。ネット上に溢れまくった婚活情報の中から,信じられるものを見つけることが大切。中には,クリック数稼ぎや誘導目的のフェイクに近いような情報も多くあります。そのような目先の情報に囚われず,何が自分にとって大切なのかを選び取るために必要なことこそ,時間的な余裕なのです。まだ余裕があるうちに,腰を据えて情報を収集する姿勢を持つことが,婚活に失敗しないうえで大切なことです。

 

もう一つ大切なのは「精神的な余裕」。

はっきり言ってしまえば,婚活は非常にコスパの悪い活動かもしれません。今後の人生を共にするただひとりの結婚相手を選ぶためだけに,10人,100人, (街コンで出会った人も通算して1000人という人もいるでしょう)というとんでもない数の見知らぬ人にたくさん会う作業です。見知らぬ人に会って,これまで他の人としてきたような話を改めて別の人にするということの繰り返し…。たとえるなら,人間関係が一気に変わる大学1年の4月や社会人1年目の4月の疲れが毎週末やってくるような感じでしょうか。そんな状況にあれば,誰しも心が擦り切れて疲れてしまうことでしょう。どれだけ寝ても疲れが取れないし,平日の仕事や家事にも力が入らない悪循環に陥ってしまうかもしれません。

また,周りがどんどん婚活から「卒業」して結婚したり出産したりしていく中で,自分にも結婚への〆切が迫る精神的焦りがでてくるもの。その焦りで相手選びにも焦ってしまい,よく考えず結婚してのちのち後悔してしまうことになるかもしれません。

婚活中こそ,「結婚がすべてではない。結婚は幸せになるための手段の一つに過ぎない」ということを心掛けたいもの。婚活中も,自分のすきなことしてのんびりする時間は意識的に作ることが大切です。

 

そういえば,〆切本には第2弾がありました。第一弾が気に入った人は,ぜひぜひ読んでみていただければ。婚活の〆切に焦っている方,ぜひ婚活中の心の余裕のためにどうぞ。