本屋を何となく見ているだけで,読みたい本は次々に出てくるし,書きたいネタは次々に浮かび上がってくる。
今回出会ったのはこの本だ。
婚活中毒 (秋吉理香子作,実業之日本社)
Amazon の紹介文がこの本の魅力を雄弁に語っている。
運命の出会いはいのちがけだ―― この人となら―と思ったその時、あなたはもう騙されている! 人生はどんでん返しの連続。『暗黒女子』著者が贈るサプライズ満載の〈婚活〉ミステリー。 「理想の男」…崖っぷち女が紹介された運命の相手は連続殺人犯? 「婚活マニュアル」…街コンで出会った美女の暴走に戸惑うマニュアル男は… 「リケジョの婚活」…本命男を絶対に落とす〈婚活ツール〉の中身とは? 「代理婚活」…息子の見合いで相手の母親に恋心を抱いた父親は… 幸せになりたいすべての男女必読! 婚活にはミステリーがいっぱい! 婚活中の方も、そうでない方もお楽しみいただけます。――秋吉理香子 本作中の短編「リケジョの婚活」が第69回(2016年)日本推理作家協会賞(短編部門)にノミネートされた好編です。
やはり,「婚活」という一大トピックに関わる人間としての性なのだろうか。本屋に並んでいるこの本をみつけるや否や,自然に体が反応してしまっていた。強すぎる,タイトルがもう,強すぎる。それはもう,手に取るしかない…。さすがに,積読している本がまだ家にたくさんあるので,買うのはためらってしまったが,立ち読みで手に取ってしまった勢いで,自分の足はレジに向かおうと疼いていた気がする。あぶないあぶない。また積読を増やしてしまうところだった。それでも,この本を前にして,自分の中の第六感とでもいうのだろうか,勘のような部分に何か引っかかっている。溜まっている本を消化して,早くこの本を買いたくて買いたくてしょうがないのである。もしかしたら,こんな風に「婚活」というワードに敏感に反応して閉まっているこの私こそが,「婚活中毒者」なのではないか。
お互いの思惑が交錯し,人間の人間としての欲望が絡み合う婚活の場。婚活の現場はあまりにもドラマで満ち満ちている。婚活ほど人間ドラマの舞台にうってつけな題材は他に見当たるだろうか。
周囲から見ているものにとっては,そんな話もコンテンツとして楽しんで消費して消化できるのかもしれない。婚活での話を友人にすると結構好評で楽しんでもらえることが多いのはそのせいか。だけれども,婚活真っ最中の当事者,婚活のプレーヤーにはそんな心の余裕などない。プレーヤーは望んでいる。一刻でも早く婚活から解放されて,平和な結婚生活が訪れることを。
人生で一度だけ訪れる婚活の時期。(一度しかないことを祈りたい) その特異な時期の一喜一憂,甘酸っぱい気持ちを味わえる貴重な小説が「婚活」中毒であるような気がする。まだ読んでいないが,私はかなり期待している。現在絶賛婚活の真っただ中で,気が滅入っている人,「婚活中毒」読んだら,今の自分の状況を笑い飛ばして,むしろ開き直ってまた明日から婚活頑張れるかもしれない。これから婚活が控えている人,婚活期間中のあの独自の心理状態に対する免疫を作っておくためにも,読んでみてもいいかもしれない。